スイングバイでなんで速度が上がるのか分からなくないですか?
まあ100歩譲って角度が変わるのは感覚的にわかる。でもなんで速度が上がるのか!!!
ちなみに角度が変わるのは凹んだところをビー玉が通ると真っ直ぐ進まないのと同じ原理です(笑)。いや、これじゃあ普通の人には絶対わからないよなあ。もう少しわかりやすく言うと、でっかいジョウゴの中をビー玉が円形にくるくる回るのと同じ原理です。まあ、今日は速度が上がるほうが主題なのでさらっと無視します。
で、前置きが長くなりましたが、私は分からなかったんです。まあ、分かろうとしなかったと言ってもいいかもしれない・・・。で、インターネットを 徘徊してみました。そしたら私と同じ人はいっぱいいるみたいで、いろんな解説サイトが引っかかるのですがどれもわかりづらい(笑)。
で、必死に考えてみたところ、ついにわかった気がしたので(笑)、ここに書いてみようと思った次第です。私のような迷える子羊の助けになれば幸いです。
私が知っている範囲で世界で一番わかりやすいスイングバイで速度が上がる解説です(笑)。
では、はじめましょう!
まず始めに、簡単なところから。ここにブロック塀があるとします。 野球少年がやってきて壁相手にキャッチボールを始めました。投げては取って、投げては取ってを繰り返します。
さて、ここで問題です。壁に投げたボールは壁にぶつかって跳ね返ってくるんですが、理想的には、・・・そう、物理特有の表現ですよね、理想的(笑)。まあ、言い換えると条件が良ければどうなるか? ・・・投げた速度と同じ速度でボールは跳ね返ってくるんです。
壁にボールを投げると理想的には同じ速度で跳ね返る。ここまでいいですか? 現実的にはボールの速度は下がっていくんですが、理想的には固い壁にあたったら同じ速度で跳ね返ってくるんです。
ここでついてこれなくなったら、もうスイングバイは諦めてください。世の中には知らなくても良いことなんて山ほどあります。スイングバイなんて知らなくても何も困りません(^^)。まあ、我慢してもう少し読んでみることをオススメしますが・・・。
話は続きまして、じゃあ、この実験がたまたま50km/hで走る電車の中で行われたとする。
野球少年が電車の中で電車が動く向きとは反対方向に100km/hのボールを投げます。おお、結構なスピードで投げますね、この少年! て、跳ね返ったボールは電車の中では当然100km/hです。まあ、理想環境ですから(笑)。
ここで問題です。この様子を電車の外、つまりホームから見ている人がいました。ちょうどホームを通り過ぎるところだったんでしょう。急行かな? ・・・まあどうでもいいか(笑)。・・・そんなことを考えながら見てました。さて、ホームにいる人にはボールは何キロで飛んで行くように見えたでしょう?
電車は50km/hで走ってますから、ボールを投げている少年も当然50km/hで動いてます。そこから電車の動く方向とは反対にボールを100km/hで投げるわけですから、ボールは差し引き、50km/hで電車の進む方向とは反対に飛んで行くようにホームの人には見えます。
だんだん難しくなってきましたね。でもまだ大丈夫です。冷静に考えればきっと分かるはずです。
では壁から跳ね返ったボールはホームで見ると何キロでしょうか。電車の中では100km/hで跳ね返っているわけですから、さらに電車の速度の50km/hを足して150km/hで電車と同じ方向に飛んで行くんです。なんと(笑)!
・・・ここまでいいですか?
ここまできたら、もうスイングバイは分かったも同然。つまり、ホームからボールを見ていると、50km/hで飛んでいるボールが、壁に当たって跳ね返って150km/hになっている。・・・ほら、50km/hのボールが150km/hになって速度が上がったでしょう?これがスイングバイで速度が上がる理由です(笑)。
いや、わかってますって。これじゃあ、絶対わからないですよね(笑)。めっちゃ騙されてる感が強いですよね(笑)。でも原理は同じなんです。
さて、そろそろお話も佳境に入ってきます。
ところで、ここで質問します。世の中には引力というものがあって、例えば探査機が地球のそばを通るとその方向が変わるという現象はなんとなく理解できますか? 考え方としては最初に例としてあげたジョウゴにビー玉と同じ原理です。地球の重力に引かれていった探査機が方向を変えられて、また地球から離れていく。ビー玉も投げる角度を調整すればジョウロの中心に向かって落ち込んで行かずに、向きだけ変える現象を再現できると思います。
で、この時に速度が上がるのがスイングバイです。まあ、いろいろ省略しますが、今回は地球に近づいていった探査機が地球の重力に捕まって、ぐるっと回って180度方向転換をして地球から離れていくことを考えます。
細かいことはいろいろあるんですが、物事を理解するためには、まずは細かいことは気にしないというのはよくあることです。で、ここで引っかかるのは、地球に惹かれた探査機は、地球から離れるときにも後ろ髪を惹(引)かれるわけで、速度的にはプラスマイナス0になることです。速度は上がりません。
つまり止まっている地球をぐるっと反転して戻ってくる場合には地球はいつまでも止まっていますし、探査機は100km/hで地球に飛んでいけば、100km/hで地球から帰ってきます。厳密には違いますがここでは気にしません。
で、ここからがミソです。ようやく最初の電車の下りが生きてきます(笑)。ここで地球さんが乗れるでかい電車が時速50km/hで走ってました。遅!(笑) 電車の前方から野球少年が投げたボールよろしく100km/hで探査機が地球に近づいてきます。最終的に探査機は地球をぐるっと回って地球を乗せた電車の進行方向に100km/hで飛んでいきます。
さて、この話は電車の中で見ている人の話しでしたよね。つまり電車の中からは止まって見える、地球で見た場合です。じゃあ、電車の外の太陽さんにはどう見えるでしょうか。太陽には50km/hで飛んでいる探査機が地球で方向転換して150km/hで飛んで行くように見えるんです! ほら、速度が上がったでしょう? これがスイングバイで速度が上がる理由です。
地球は止まっている太陽の周りを公転していますよね。これが電車に乗っているのと同じことになるわけです。
なんか相変わらず大事なところで騙されている気がしてしょうがないと思いますが(笑)、本質的には間違っていないはずです。
さらに、探査機が後ろからやってきて、後ろへ戻っていくことを考えてみます。太陽から見て探査機の速度が100km/hだとすると、50km/hで動いている地球から見た探査機の速度は50km/h。180度方向転換をして地球から見て50km/hで離れていくとすると、太陽から見ると探査機は0km/h、つまり止まっちゃうわけです。これがスイングバイで速度を下げる原理です。
で、もう少し考えると、また面白いことがわかります。探査機は地球の進行方向から来て、地球の進行方向に戻っていくのが一番速度が上がるんですが、これは地球の進行方向成分がキモになっていて、横方向は無視していいんです。
物理的な大きさがあるのでこんなことはありえないのですが、例えば進行方向から入って直線的に後ろにそのまま出て行くときには最終的な速度は変わりません。近づくに連れて速くなりますが、離れるときに遅くなるので、結果的には探査機の速度は変わりません。
もう少し考えると地球の進行方向に対しての垂直平面を考えて、進行方向に対する角度をプラスとして、進行方向とは逆の方向をマイナスとすると、入った時と出た時の角度を足した時にプラスになれば速度は上がるし、マイナスなら下がることがわかります。
(実際にはこの垂直平面も地球と同じように動いているのでちょっとややこしいのですが・・・(^^;)。)
例えば、地球の進行方向の真横、つまり垂直平面上を通って探査機が近づいてきた場合には、一反重力に捕まったあと、進行方向側に離れていけば速度は上がるし、反進行方向側であれば速度が下がることがわかります。このことを理解しておくと、他の解説サイトの動画を見ても一発で速度が上がるのか、下がるのかが分かるでしょう。
ということで、今日の講義はここまでです。気分が乗ったら絵も書きたいと思います。
文章だけでこれを読むのは辛いですよね(笑)。でも一番わかり易い、後半は難しいですが(^^;)、スイングバイで速度が上がる解説だと思うのですがどうでしょうか?
補足:
スイングバイで大事な点は、
1.進行方向を変えること。
2.速度を変えること。
の2つあります。1に関する大事なポイントは引力です。2に関する大事なポイントは公転(+引力)です。これを理解しておかないとおかしな事になってしまうので注意が必要です。
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